21時の映画館

映画と音楽とそれにまつわる日々

和訳:In Between Days

1985年夏、フランス・ノルマンディーの海辺
アレックスとダヴィドが出会い、
永遠に別れるまでの6週間
恋する喜びと痛みを知った少年が
守ろうとした、あの夏の誓い─
※ https://summer85.jp 映画『the summer of 85』公式サイトより引用

 

2021年8月20日、Summer of 85が公開予定だ。

監督は、「彼女は秘密の女友達」('14)、「婚約者の友人」('16)など、人物描写で定評のあるフランソワ・オゾン氏。

 

さて、今回の和訳はそんな本作のtrailerから。

ノルマンディー地方の、美しく爽やかな情景が印象的なこのtrailer内で、BGMとして流れているのはイギリスのロックバンド、The Cureの『In Between Days』である。

 

映画のタイトルと同じく85年に発表されたこの曲は、

失恋の痛み、自分の失態への後悔、そして、無くして初めて気がつく存在の大きさ

一つの恋を通り過ぎた者ならば、誰もが経験したことのある感情を、瑞々しい歌詞で表現しているのが印象的だ。

 

ある夏、唯一無二の存在を見つけた映画の主人公である少年たち。

しかし思春期の特有の子供っぽさで、自分のエゴや感情をコントロールしきれず、傷付け合い、永遠の別れを迎える。

2人は何故惹かれたのか、どうして別れる事になったのか、2人が交わした約束の結末はどうなったのか。

この歌詞と同じ感情を抱えていたであろう少年たちの物語を見届けるのが待ちきれない。

 

--------------------

Yesterday I got so old

昨日、僕はひどく歳をとり


I felt like I could die

まるで死んでしまうような気がした


Yesterday I got so old

昨日、僕はひどく歳をとり


It made me want to cry

僕は泣きたくなった


Go on go on

さあ行ってくれ、行ってくれ


Just walk away

もう関わらないでくれ


Your choice is made

君がそうさせたんだ


Go on go on

さあ行ってくれ、行ってくれ


And disappear

もう消えてくれ


Go on go on

さあ行ってくれ、行ってくれ


Away from here

ここから遥か彼方へ

 

And I know I was wrong

だけど僕が間違っていたんだ


When I said it was true

僕があの時真実だと言ったのは


That it couldn't be me and be her

まさか彼女と僕の関係のはずがないんだ


In between without you

君なしの関係が本物のはずがないんだ


Without you

君がいないのに

 

Yesterday I got so scared

昨日、僕はひどく怖くなった


I shivered like a child

子供みたいにガタガタ震えて


Yesterday away from you

昨日、君と別れた


It froze me deep inside

それは僕の奥深くまで凍らせた


Come back come back

戻ってきて、戻ってきて


Don't walk away

一緒にいてくれ


Come back come back

戻ってきて、戻ってきて


Come back today

今すぐに会いたいんだ


Come back come back

戻ってきて、戻ってきて


Why can't you see

君に会えないなんて


Come back come back

戻ってきて、戻ってきて


Come back to me

僕のところに帰ってきて

 

And I know I was wrong

そう、僕が間違っていたんだ


When I said it was true

あの時僕が真実だと言ったのは


That it couldn't be me and be her 

まさか彼女と僕の関係のはずがないんだ


In between without you

君なしの関係が本物のはずがないんだ


Without you

君がいないなんて

 

f:id:sophpg:20210512202501j:image

和訳 : I Am A Poor Wayfaring Stranger

今回の和訳は、

1917 命をかけた伝令より、

"I Am A Poor Wayfaring Stranger"

 

この曲は、19世紀ごろのアメリカのゴスペルを起源としている。歌詞についても、宗教的な意味合いが深い。

 

しかし、この映画のテーマと照らし合わせれば、反戦をテーマにしていることを感じ取れるだろう。

 

隣にいた人が、次の瞬間には銃弾や爆破で吹き飛び、二度と目を開けることはない。

そんな非日常が、当たり前だった時代に

それでもなお、使命を背負い険しい道をいかなければならなかった者の気持ちを想像しながら和訳をしてみた。

------------------------------------------------

I am a poor wayfaring stranger

私は貧き彷徨えるよそ者


I'm travellin' through this world of woe

私はこの悲惨な世界を旅して周っている


Yet there's no sickness, toil, nor danger

病も、苦労も、危険もない


In that bright land to which I go

輝かしい地へと私は向かう

 

I'm going there to see my father

父に会うために


I'm going there no more to roam

もうこれ以上彷徨い歩かないで済むために向かう


I'm only going over Jordan

ヨルダンを超え


I'm only going over home

生まれ故郷を離れる

 

I know dark clouds will gather round me

向かう先には暗雲が立ち込め


I know my way is rough and steep

辛く険しい道が待っていることは分かっている


But golden fields lie just before me

けれど、金色の眩い彼の地は私の前に広がっている


Where God's redeemed shall ever sleep

そこは神に与えられた安息の地

 

I'm going home to see my mother

私は母に会うために


And all my loved ones who've gone on

そして今はもういない私の愛したすべての人々に会うために


I'm only going over Jordan

ヨルダンを超え


I'm only going over home

生まれ故郷をも離れる

 

I am a poor wayfaring stranger

私は哀れな彷徨えるよそ者


I'm travellin' through this world of woe

私はこの悲惨な世界を旅して周っている


Yet there's no sickness, toil, nor danger

病も、苦労も、危険もない


In that bright land to which I go

輝かしい地へと私は向かう

 

 

I'm going there to see my father

父に会うために


I'm going there no more to roam

もうこれ以上彷徨い歩かないで済むために向かう


I'm only going over Jordan

ヨルダンを超え


I'm only going over home

生まれ故郷を離れる

 

f:id:sophpg:20200307134702j:image

 

和訳 : Come and Get Your Love

アベンジャーズ:エンドゲーム。

本作はアイアンマンから始まり、約11年という長い期間続いたシリーズに1つの着地点を与えた。

彼や彼女の最後、彼らのこれから。

地球という枠を超え、拡大した作品の歴史におけるその一端を、我々は目撃することができた。

この時代にあって、これほどまでに人々が、映画で、映画館を通じて同じ情熱と感動と様々な感情を共有したことがあっただろうか。

 

監督、脚本家、出演者、様々なキャラクター、そして観客である私たち。作品を通して一体感を得られるということに関して、これほどまでに優れた作品はない。

 

 

それでは。

11年間走り抜けたアベンジャーズシリーズのひとまずの区切りを祝して、今回は私が個人的にアツイ!と思ったシーンの音楽を紹介する。

 

ガーディアンズシリーズのキャラクター、

ピータークイルの登場シーンより

レッドボーンのCome and Get Your Love

 

宇宙を旅する地球生まれのアウトロー、ピータークイル。

ひょうきんでがさつだが情に厚く、女好きだが好きな女には一途。

そんな彼のお気に入りの一曲であり、彼を表す一曲だ。 

--------------------

Hail (Hail), what's the matter with your head, yeah

おいおい、その髪型どうしたの


Hail (Hail), what's the matter with your mind
And your sign an-a, oh-oh-oh

おいおい、君の仕草とか気持ちとか一体全体なんなわけ


Hail (Hail), nothin' the matter with your head

なあなあ、その髪型が悪いわけない


Baby find it, come on and find it

なあベイビー分かるだろ、こっちに来いよ


Hail, with it, baby, 'cause you're fine

ああベイビー、君はありのままが素晴らしいんだ


And you're mine, and you look so divine

君は俺のものだ、神のように輝く君のことさ

 

Come and get your love
Come and get your love
Come and get your love
Come and get your love

こっちに来て、愛し合おう

こっちに来て、愛し合おう

 

Hail (Hail), what's the matter with you feel right

あのさ、君は何が正義だと思う


Don't you feel right, baby

これは正義だと思わないかい


Hail, oh yeah, get it from the main vine, all right

間違っちゃいない、見た目も考え方も君の祖先が紡いで来たものなんだから


I said-a find it, find it, go on and love it if you like it, yeah

知るべきだって言っただろ、君が好きなことを愛し続けるために


Hail (Hail), it's your business if you want some, take some

なあなあ、お前自身のことなんだから、欲しいならぶんどっちまえばいいのさ


Get it together, baby

一緒に奪ってやろうぜ、ベイビー

 

Come and get your love
Come and get your love
Come and get your love

さあこっちに来いよ

俺に愛をくれよ

 

Come and get your love

こっちに来てよ、一緒に愛を掴もう


Hail (Hail), what's the matter with you feel right
Don't you feel right, baby

あのさ、君は何が正しいと感じるんだ?

これは正しいと思わないか?


Hail, oh yeah, get it from the main vine, all right

悪いわけない、君の姿形、考え方も何もかもが大切なルーツから紡がれたもんだろ


La, la, la, la, la, la, la, la, la, la
Come and get your love

さあこっちに来いよ

俺に愛をくれよ


La, la, la, la, la, la, la, la, la, woohoo
Come and get your love

さあこっちにおいで

君のことが好きなんだ


La, la, la, la, la, la, la, la, la, la
Come and get your love

さあこっちに来て愛しあおう


La, na, na, na, na, na, da, boom
Come and get your love

さあこっちに来いよ

俺達で愛を掴もう


La, da boom, boom, boom, ta, daba, boom, boom
Come and get your love
La, la, la, la, la, la

さあこっちに来て

一緒に愛を掴もう

 

 

和訳 : The Show Must Go On

今回の和訳は、英国のバンド、

QUEENより、The Show Must Go On

を和訳したいと思う。

 

この曲は、映画「ボヘミアン・ラプソディ」のエンディングで使われている。

 

映画でも明かされたが、リードボーカルのフレディは、エイズにより亡くなった。

晩年は病気による痛みでほとんど動けず、ベッドから起き上がるのもままならなかったそうだ。

 

恐らく、彼は自分の身に迫りつつあった‘最後の時’を感じ取っていたのだろう。

 

フレディは晩年、ファンやメンバーのため、少しでも多くの曲を残せるよう、痛みを我慢してレコーディングやミュージックビデオ撮影に取り組んだそうだ。

 

本エントリーで紹介するThe Show Must Go Onも、そんな彼の、遺言とも言える一作なのだ。

 

この記事を読んだ読者の方が少しでも、フレディの魂に触れられたらと思う。

 

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Empty spaces

What are we living for?

ポツリと空いた場所

僕たちはなんのために生きているんだ?


Abandoned places

I guess we know the score.

見捨てられた場所

僕らはうまくいく方法を知っているんだろう

 

On and on.

この長い旅路。


Does anybody know what we are looking for?

誰か、僕たちが何を求めているのかわかる人はいるかい?

 

Another hero,

僕じゃない、誰か別のヒーロー。


Another mindless crime

もう一つの、無知な行為。


Behind the curtain

In the pantomime.

カーテンの後ろでパントマイムをする

 

Hold the line.

後戻りはできない


Does anybody want to take it anymore?

こんな苦難の道を歩きたい人なんていないだろう

 

Show must go on.

幕は上がってしまった。


Show must go on.

何があってもやり遂げなければ。


Inside my heart is breaking.

My make-up may be flaking.

心は粉々に砕け

繕った化粧も剥がれ落ちているかもしれない


But my smile still stays on.

それでも、笑顔を絶やさずにいなければ。

 

Whatever happens,
I'll leave it all to chance.

何が起ころうとも

成り行きに任せるだろう。


Another heartache,
Another failed romance.

もう一つの傷心と、

もう一つの恋

 

On and on.
Does anybody know what we are living for?

何度も繰り返し続いていく

誰か、僕たちはなんのために生きているのか教えてくれないかい?

 

I guess I'm learning.

僕は失敗から学んだはずだ


I must be warmer now.

今、僕は生気があるように見えているに違いない


I'll soon be turning 

僕はもうすぐ転換期を迎えるだろう


'Round the corner now.

今、曲がり角は目前まで来ている

 

Outside the dawn is breaking, 

外は朝焼けに染まり始めた


But inside in the dark I'm aching to be free.

だけど中は真っ暗闇で、僕は早く自由になりたくてたまらないんだ。

 

Show must go on.

幕は上がってしまった 


Show must go on.

どんなことがあってもやり遂げなければ。


Inside my heart is breaking.

My make-up may be flaking,

心は粉々に砕け

繕った化粧も剥がれ落ちているかもしれない


But my smile still stays on.  

それでも、笑顔を絶やさずにいるんだ。

 

My soul is painted like the wings of butterflies.

僕の魂は、蝶の羽のように鮮やかに彩られた


Fairytales of yesterday will grow but never die.

僕たちの作り上げた物語は、成長し続けることはあってもけして忘れ去られることはない。


I can fly, my friends.

だから皆、僕は思い残すことなく羽ばたける

 

Show must go on.

さあ幕は上がった


Show must go on.

何があってもやり遂げるんだ


I'll face it with a grin.

僕は満面の笑みをたたえる


I'm never giving in—
Oh—with the show.

二度と届かない

ああ、このショーで最後

 

I'll top the bill,

I'll overkill.

僕は主役を演じるのに夢中になりすぎた


I have to find the will to carry on with the show.

挫けずにこのショーを続けなければいけないんだ。


On with the show.

さあ、はじまりはじまり。

 

Show must go on.

絶対にこの舞台をやり遂げるんだ。


f:id:sophpg:20181127075648j:image

 

和訳:feel it still

私は映画館で泣いたり、笑ったりできないタイプだ。なんとなく周りが気になってしまう。どんなに感動的なシーンであっても、地蔵のように固まって我慢している。どんな修行だこれは。正直疲れるのでいっそ泣きたい。

 

と、そんな私だが、例外もある。

映画館でひきつるほど笑い(一応声は潜めたが)、中々笑い止むことができなかった作品がある。

 

それが、“Peter Rabbit

ポター婦人の原作は誰もが見聞きしたことがあるだろう、世界的な有名な絵本の実写化で、

ピーター役にジェームズ・コーデン、ドーナル・グリーソン、ローズ・バーン等が出演し、良くも悪くも話題を呼んだ作品だ。

 

この映画、とにかくくだらない。もちろん褒め言葉として。

 

全編通してくだらない笑いに包まれていて私は大好きなのだが、特に好きなシーンは

ドーナルグリーソン演じるトーマス(あの、絵本世界では一番の悪役であったマクレガーさんの甥っ子)の登場シーンだ。

 

トーマスは百貨店ハロッズの売場の責任者であり、日々昇進のために努力している。

 

そんな彼にある日上司から知らせが。

ついに昇進か!?と心を弾ませたのもつかの間、

なんと、昇進するのは努力を重ねた自分ではなく、上層部にコネのある同僚。

 

今までの努力が水の泡となったトーマスは、それこそ頭のネジが飛んだように、自分の作り上げた城とも言える玩具売場で暴れまわるのだ。

 

このシーンで流れる音楽が

portugal the man の“feel it still”

 

 

本来は、アメリカの大統領選を受け、民主主義と何かという若者の疑問を代弁したテーマ性のある音楽なのだ。この曲の意義については別の記事で詳細を書きたいと思う。

 

ある意味、コネ1つで昇進の決まった同僚を見て何が民主主義だバカヤローーという気持ちを表している…

のかもしれない。

 

それでは、今回は、この

feel it stillを和訳したいと思う。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Can't keep my hands to myself

この気持ちを抑えることなどできない


Think I'll dust 'em off, put 'em back up on the shelf

奥底にしまっていたものを目につくところに再び引っ張り出す

 

In case my little baby girl is in need

Am I coming out of left field?

いつか自分の娘が必要とする時に備えて

自分は主流ではないと、告白すべきだろうか


Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now

そうだ、私は今にも蹴りを食らわす反逆者だ


I been feeling it since 1966, now

1966年以来、ずっと感じてきた


Might be over now, but I feel it still

時代遅れだとしても、私はまだ感じている


Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now

そうだ、私は今にも蹴りを食らわす反逆者だ


Let me kick it like it's 1986, now

1986年の出来事のように、私にも反撃させてくれ


Might be over now, but I feel it still

時代遅れだとしても、私はまだ感じている


Got another mouth to feed

家族が増え


Leave her with a baby sitter, mama, call the grave digger

子供をベビーシッターに預けて、母は後始末を頼む


Gone with the fallen leaves

Am I coming out of left field?

落ち葉と共に時間は過ぎ去るから

自分は主流ではないと告白すべきだろうか


Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now

そうだ、私は今にも蹴りを食らわす反逆者だ


I been feeling it since 1966, now

1966年以来、ずっと感じてきた


Might've had your fill, but you feel it still

君はもう満たされたかもしれないが、でも今でも感じているはず


Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now

そうだ、私は今にも蹴りを食らわす反逆者だ


Let me kick it like it's 1986, now

1986年の出来事のように、今、僕にも反撃させてくれ


Might be over now, but I feel it still

時代遅れだとしても、私はまだ感じている


We could fight a war for peace
(Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now)

私たちは平和のために戦えるはずだ

(そうだ、私は今にも蹴りを食らわす反逆者だ)


Give in to that easy living

Goodbye to my hopes and dreams

安らかな暮らしという誘惑で

抱いてきた希望と夢に別れを告げる


Stop flipping for my enemies

心の葛藤と戦うのを止めた


We could wait until the walls come down
(Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now)

私たちは壁が崩れるまで待てるはずだ

(そうだ、私は今にも蹴りを食らわす反撃者だ)


It's time to give a little to the Kids in the middle,

子供のために時間を費やしている

 

but oh 'til it falls

老い朽ちるまで、ずっと

 

Won't bother me

悩むのはもう止めた


Is it coming?

本当に訪れるのか?
Is it coming?

本当に訪れるのか?

Is it coming?

いつか来るのか?
Is it coming?

いつか来るのか?
Is it coming?

本当にやってくるのか?
Is it coming back?

戻って来るのか?


Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, yeah

ああそうさ、私は蹴りを食らわす反逆者だ


Your love is an abyss for my heart to eclipse, now

今や、君の愛は私の心に影を落とす深い淵


Might be over now, but I feel it still

時代遅れだとしても、私はまだ感じている


Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now

ああそうさ、私は今にも反撃を食らわす反逆者だ


I've been feeling it since 1966, now

1966年以来、ずっと感じてきた


Might be over now, but I feel it still

時代遅れだとしても、私はまだ感じている


Ooh woo, I'm a rebel just for kicks, now

ああそうさ、私は今にも反撃を食らわす反逆者だ


Let me kick it like it's 1986, now

1986年の出来事のように、今、私にも反撃させてくれ


Might be over now, but I feel it still

時代遅れだとしても、私はまだ感じている


Might've had your fill, but you feel it still

きっとうんざりしているだろう、でも君もまだ感じているはずだ

 

和訳:Visions of Gideon

 
さて、『君の名前で僕を呼んで(Call me by your name)』の和訳シリーズも第三回。

今回は映画のエンディング、"Vision of Gideon" 和訳したいと思う。

 

youtu.be

 
  このブログを見に来てくれた人は、私と同様CMBYNフリークだと信じて映画のエピソードは割愛させていただく。
 
 今回は和訳を始める前に、タイトルであり、歌に何度も登場する"Gideon"が、映画にどのように関係しているのかを考察をしたい。
 先に和訳を見たい方は、こちらからどうぞ→和訳
 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギデオンとは何か

 さて、CMBYNの中で最も涙を誘う場面。見た者の心に深く刻まれ、おそらく映画史上最も静かで感傷的な長回しのシーンであるエンディングで、何度も何度も繰り返される言葉がこの”ギデオン”である。

 

ギデオンとは、キリスト教旧約聖書に登場する人物だ。

ギデオンの故郷であるイスラエルという国は、当時外敵に囲まれていたため、民は隠れるように暮らしていた。そのような国の、平凡で臆病な青年の一人がギデオンだった。

 

しかし、ギデオンはある日、自分の生まれ故郷である国、イスラエルに平和をもたらす戦士として神に選ばれる。

なぜ自分が選ばれたのか、という困惑があったかもしれない。彼は本当に神が自分を導いてくれる存在であるのかを試し、そして確信を得ると、神に盲目的に従うようになった。

 

ギデオンと神。

 

この構図は、まるでエリオとオリヴァーの関係そのものではないだろうか。

 自分を選んでくれた存在を盲目的に愛したギデオンが見つめる先には、常に”神”という存在がいたのと同様、

エリオの眼差しは、いつもオリヴァーに向けられていたはずだ。

自分を見つけ出してくれた存在。尊く、離れがたい、信仰にもにた感情を抱いた相手。エリオにとってそれは、オリヴァーという一人の青年であり、ギデオンを導いた神のような存在であったに違いない。

 

ギデオンと自分。

 

過去を振り返った時、

一つの存在を一身に愛したという記憶は、まるでビデオの様に客観的でおぼろげかもしれないが、ギデオンがかつて、神のために身も心も捧げたのと同様、確固たるものだ。

 

 

様々な解釈が生まれる歌詞だと思われるが、

今回私は、このような自己解釈を踏まえて和訳してみた。

 

もし、こんな解釈はどうだろう、といった意見があれば、歌詞を掘り下げるためにもコメントをいただけるととてもうれしい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

        

 I have loved you for the last time

Is it a video? Is it a video?

 貴方を忘れることができない
この記憶はビデオ?

I have touched you for the last time
Is it a video? Is it a video?
 貴方に触れた最後の記憶
この想い出はビデオなの
 
For the love, for laughter, I flew up to your arms
Is it a video? Is it a video?
愛を感じたくて、笑顔を見たくて、貴方の腕に飛び込んだ
この記憶も、ビデオなの?

For the love, for laughter, I flew up to your arms
Is it a video? Is it a video?
愛を感じたくて、笑顔を見たくて、貴方の腕に飛び込んだ
忘れえぬこの映像は、ビデオなの?
 
Is it a video?
ビデオなのかな
 
I have loved you for the last time
Visions of Gideon, visions of Gideon
 貴方を愛したこの記憶は
ギデオンの眼差し、ギデオンの見た世界

And I have kissed you for the last time
Visions of Gideon, visions of Gideon
 最後にキスしたこの記憶も
ギデオンの眼差し、ギデオンの見た世界
 
For the love, for laughter, I flew up to your arms
Is it a video? (Is it a video?) Is it a video? (Is it a video?)
愛を感じたくて、笑顔を見たくて、貴方の腕に飛び込んだ
忘れえぬこの映像は、ビデオなの?

For the love, for laughter, I flew up to your arms
Is it a video? (Is it a video?) Is it a video? (Is it a video?)
愛を感じたくて、笑顔を見たくて、貴方の腕に飛び込んだ
この記憶は、ビデオ?再生を繰り返す、ビデオ?
 
For the love, for laughter, I flew up to your arms
Visions of Gideon, (visions of Gideon), visions of Gideon, (visions of Gideon)
愛を感じたくて、笑顔を見たくて、貴方の腕に飛び込んだ
これはギデオンの眼差し、ギデオンが求めた世界

For the love, for laughter, I flew up to your arms
Visions of Gideon, (visions of Gideon), visions of Gideon, (visions of Gideon), visions of Gideon
愛を感じたくて、笑顔を見たくて、貴方の腕に飛び込んだ
これはギデオンの眼差し、ギデオンが求めた世界
 
Visions of Gideon, visions of Gideon, visions of Gideon
Visions of Gideon, visions of Gideon, visions of Gideon
ギデオンの眼差し、ギデオンが求めた世界

Visions of Gideon, (Is it a video?), visions of Gideon, (Is it a video?), visions of Gideon
Visions of Gideon, (Is it a video?), visions of Gideon, (Is it a video?), visions of Gideon
(Is it a video?) (Is it a video?) (Is it a video?)
ギデオンの眼差し、ギデオンが求めた世界
何度も何度も再生を繰り返すビデオのような世界
 

和訳:futile devices

 

今回も前回同様、映画『Call Me By Your Name』より。

futile devices(作詞作曲:Sufjan Stevens)

 

 

 

この曲は、Sufjan Stevensが2010年に発表した曲だが、

その歌詞はまるで本映画のために作られたように、主人公エリオの心の内を表した一曲になっている。

 

エリオは、日々オリヴァーへの気持ちを募らせるものの、言葉にすることができない。だが、素直になれない気持ちとは裏腹に、まるでオリヴァーの痕跡をたどるように体が動き出してしまう。思いを伝えようと決心したその日、オリヴァーはいつまでたっても帰らなかった。帰らない想い人を待ちきれず、夕暮れの森で彼の姿を待ちわびてしまったり、部屋に戻っても、なかなか寝付くことができない。

 

たった一言、「愛している」と伝えられればどれほど楽だろう。

 

本エントリーは、そんなエリオの気持ちを想像しながら、和訳を試みた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

It's been a long, long time
Since I've memorized your face

貴方の顔を思い出してから、もう随分経つ

 

It's been four hours now
Since I've wandered through your place

貴方がいた場所をうろうろと歩き始めてから

今、4時間が経過した

 

And when I sleep on your couch
I feel very safe

 貴方のソファに寝ころび、目を閉じると

とても安らげる

 

And when you bring the blankets
I cover up my face

貴方が毛布を持ってきてくれたなら

顔まですっぽりとくるまろう

 

I do Love you
I do Love you 

生涯、貴方を愛することを誓います

生涯、貴方を愛することを誓います

 

And when you play guitar
I listen to the strings buzz

貴方が奏でるギターの

弦が弾かれるたびに雑音が混ざる音色に耳を傾ける


The metal vibrates underneath your fingers

弦を抑える指の下で、金属が震えている


And when you crochet
I feel mesmerized and proud

 そんな貴方の指先が、編み棒を操るとき

心を奪われ、誇らしく感じる

 

And I would say I love you
But saying it out loud is hard
So I won't say it at all
And I won't stay very long

貴方に愛していると言いたい

けれど、大きな声で伝えるのは難しい

だから結局、伝えることは叶わない

いたたまれなくなって、逃げ出したくなる

 

 

But you are life I needed all along
I think of you as my brother
Although that sounds dumb

でも、貴方は私がずっと求めていた命の片割れそのものなんだ

愚かに思われるかもしれないけれど

貴方のことを、まるで血を分けた存在の様に近しく感じる


And words are futile devices

言葉なんて、無意味な道具でしかない